平成30年8月11日
前回の記事では、皇室典範特例法に基づく皇位継承は合憲であるとする日本政府の言い分を検証しました。
そして、日本政府の言い分は不当であることを示しました。
しかし、もし日本国憲法第2条に書かれている「皇室典範」は、「皇室に関する制度が定められた法律」という概念の意味であれば、日本政府の言い分は認められそうです。
では、憲法第2条に書かれている「皇室典範」は何を意味するのでしょうか。そもそも皇室典範とは何でしょうか。
現在の「皇室典範」は「法律」として1947年(昭和22年)1月16日に公布されました。
一方、日本国憲法は、1946年(昭和21年)11月3日に公布されました。以来、日本国憲法は現在まで一度も改正されていません。
よって、日本国憲法は現在の皇室典範が制定される前に公布されていながら、その条文には「皇室典範」という文言がありました。
なぜでしょうか?
ここが、憲法第2条に書かれている「皇室典範」は何を意味するかを解く要点です。
実は、現在の皇室典範とは別に、それが制定される以前にも「皇室典範」と呼ばれる法がありました。
1889年(明治22年)2月11日に皇室典範(「旧」皇室典範」)が発布されました。
1947年(昭和22年)5月3日に、日本国憲法と併せて現在の皇室典範(現「皇室典範」)が施行されました。
同時に、旧「皇室典範」が廃止されました。
「皇室典範」の文言がある日本国憲法の制定時点では、現「皇室典範」は施行も制定もされていません。しかし、旧「皇室典範」は存在していました。
どうやら、旧「皇室典範」とはどのような法であるかを理解することが、日本国憲法第2条に書かれている「皇室典範」の意味を理解する鍵となりそうです。
そこで、次回の記事では、旧「皇室典範」とはどのような法であるかを解説します。
お楽しみに。
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