平成30年10月9日
今回は、「皇室典範特例法の違憲問題」のこれまでの連載のまとめです。
皇室典範特例法に基づく皇位継承は、憲法違反です。
なぜなら、それは、日本国憲法第2条に反するからです。
日本国憲法第2条の条文を抜粋します。
「第二条 皇位は、世襲のものであって、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。」
この条文に書かれている「国会の議決した皇室典範」とは、
・皇室の家法である。
・国会で議決される。
・一個の法規であり、複数の法規で構成される法規集ではない。
という法を意味します。
この条件を満たす法が、現「皇室典範」です。
皇室典範特例法は、一代限りの退位についてのみ当てはめる目的の法律です。それは、皇室の「家法」ではありません。
そもそも、皇室典範(の)特例法という名称が、自らは皇室典範ではないことを表しています。
皇室典範があり、それに優先する(はずの)法として、特別に例外の法を定めた。皇室典範(の)特例法は、皇室典範とは別の、外にある法律です。皇室典範特例法も皇室典範に含まれるのであれば、それは皇室典範の特例ではありません。
また、皇室典範は一個の法規であり、現「皇室典範」と皇室典範特例法が、同時に「皇室典範という概念」になることもありません。
日本国憲法は、皇位は「国会の議決した皇室典範の定めるところにより」継承されなければならない、と指定しています。「法律の定めるところにより」継承される、とは書かれていません。
皇室典範の附則には、
「この法律の特例として天皇の退位について定める天皇の退位等に関する皇室典範特例法(平成二十九年法律第六十三号)は、この法律と一体を成すものである。」
という項が加えられました。
しかし、「一体を成す」ことで皇室典範(の)特例法が皇室典範になることはありません。皇位は「皇室典範の定めるところにより」継承されなければならないことに変わりありません。「一体を成」しているのだから、何か関連があるのだろう、と予測できるだけにすぎません。
そもそも、「一体を成す」という言葉の意味が不明であり、どのように解釈することもできません。
よって、皇位は、現「皇室典範」に基づいて継承されなければなりません。
したがって、「皇室典範特例法」に基づく皇位継承は、憲法違反です。
次回からは、皇室典範特例法に基づいて皇位が継承され、憲法違反が認められてしまうと、何が問題であるかを論じます。
もし憲法違反の皇位継承がされても、何の問題もなければ、私も黙っています。わざわざこのブログを連載することもしません。
しかし、この憲法違反が認められてしまうと、とてつもなく恐ろしい事態が生じてしまいます。大袈裟ではありません。
結論から申し上げますと、論理的には、日本国民は、公共の福祉に反する自由を抑制する全ての法から解放されます。
それはなぜなのか。次回から論じます。お楽しみに。
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