平成30年12月11日
本ブログの連載「皇室典範特例法の違憲問題」では、皇室典範特例法に基づく皇位継承は憲法違反であることを論じました。
日本国憲法に従うと、
第二条 皇位は、世襲のものであって、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する
ため、天皇の退位(譲位)を実現するためには、現「皇室典範」を改正し、譲位による皇位継承を認める条文を皇室典範に明記しなければなりません。
皇室典範は、皇室の家法です。
譲位による皇位継承は可能である、と皇室の家法に定められているならば、それが家法に定められている限り、天皇は譲位によって皇位を継承することができます。
一代限りの譲位を認める、と定めることはできません。それでは、家法ではないからです。
ゆえに、現「皇室典範」を改正し、今上陛下の譲位を実現しようとすることは、すなわち、今上陛下より後の代においても天皇の譲位を認めることを意味します。
さて、今上陛下一代限りの退位を実現するために、日本政府が憲法違反の皇室典範特例法案を作成したきっかけは、平成28年8月8日の「象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば」でした。
象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば(平成28年8月8日)(宮内庁ウェブサイト)
上記リンクより、改めて、天皇陛下のおことばをお聞き、またはお読みください。
このおことばで特に重要なポイントは、終盤の次の箇所です。
「天皇の高齢化に伴う対処の仕方が,国事行為や,その象徴としての行為を限りなく縮小していくことには,無理があろうと思われます。また,天皇が未成年であったり,重病などによりその機能を果たし得なくなった場合には,天皇の行為を代行する摂政を置くことも考えられます。しかし,この場合も,天皇が十分にその立場に求められる務めを果たせぬまま,生涯の終わりに至るまで天皇であり続けることに変わりはありません。
天皇が健康を損ない,深刻な状態に立ち至った場合,これまでにも見られたように,社会が停滞し,国民の暮らしにも様々な影響が及ぶことが懸念されます。更にこれまでの皇室のしきたりとして,天皇の終焉に当たっては,重い殯の行事が連日ほぼ2ヶ月にわたって続き,その後喪儀に関連する行事が,1年間続きます。その様々な行事と,新時代に関わる諸行事が同時に進行することから,行事に関わる人々,とりわけ残される家族は,非常に厳しい状況下に置かれざるを得ません。こうした事態を避けることは出来ないものだろうかとの思いが,胸に去来することもあります。」
この部分が重要なポイントである理由は、それまで陛下はご自身の歩み、経緯、経験を述べられているのに対し、この部分では、陛下は天皇全般における例を挙げ、お考えを述べられているからです。
このことは、よほど読解力が弱くない限り、陛下のおことば全文を聞けば、または読めばわかります。
これより前の部分では、陛下は「私は~」や「私が~」、「私の~」と述べられているのに対し、この部分だけは、陛下は「天皇が~」や「天皇の~」と述べておられます。
したがって、今上陛下一代限りではなく、譲位による皇位継承を永続的に可能とすることで、陛下のお気持ちに沿うことができる、と考えられます。
念のために確認しておきますが、陛下は「譲位を可能にしてくれ。」とおっしゃったわけではありません。陛下は譲位(退位)については全く言及しておられません。何らかの命令や強要、政治的要望をされたわけでもありません。
あくまでも、譲位による皇位継承を永続的に可能とすれば、陛下のお気持ちに応えることができる、と考えられるだけです。
陛下はお気持ちを述べられただけです。陛下のおことばに、何ら政治的発言はありません。
また、陛下のお気持ちにお応えすることで、陛下のおことばが政治的発言になることもありません。
私たちは、現「皇室典範」を改正し、恒久的に天皇の譲位を可能にすべきではないでしょうか。天皇を尊ぶ日本国民として、陛下のお気持ちにお応えすべきではないでしょうか。
それにもかかわらず、日本政府は憲法違反の皇室典範特例法によって、今上陛下一代に限って退位を認めようとしました。国会もそれを容認し、法案を成立させました。
日本政府や国会議員は陛下のお気持ちを無視するつもりなのでしょうか?許せません。
もしくは、日本政府や国会議員は陛下のおことばを正しく読み取ることができないのでしょうか?それほど読解力が弱いのでしょうか?
さらに、日本政府や国会議員が、皇室典範特例法が憲法違反であることを理解できないことも大問題です。
日本政府や国会議員、そしてそれらを支持する一部の日本国民。
ここまで絶望を与えてくれるとは…。いや~、…(言葉が出ない)。
繰り返します。
現「皇室典範」を改正し、恒久的に天皇の譲位を可能としましょう。天皇を貴ぶ日本国民として、陛下のお気持ちにお応えしようではありませんか!
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