2022年7月5日
私は、日本政府はカネを生み出し、それを国民に配るべきだと考えています。
なぜなら、それによって国民の手取りが増えるからです。
前回の記事「[予告]日本政府はカネを生み出して国民に配るべき;インフレを拒んではならない理由」では、
もし自分の手取りが増えてほしいと望み、かつインフレを拒むのであれば、その人の考えは矛盾しています。その人は、自分が何を言っているかをわかっていません。
と書きました。
なぜでしょうか。
それを論ずるために、まずは、国民の手取りが増えると何が起こるかを考えようと思います。
国民の手取り水準が上がると
ここでは、性別及び年齢別人口が全く変わらない日本、そのような人口構成の日本一国の世界を想定します。
収入のうち、実際に手に入る金額を手取りと言います。例えば、会社員の場合は、会社から支払われる給与から、税金(所得税と住民税)と社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料)を差し引いた金額が手取りです。公務員の場合は、日本政府または地方政府から支払われる給与から、税金(所得税と住民税)と社会保険料(健康保険料と厚生年金保険料)を差し引いた金額です。六五歳以上の年金生活者の場合は、年金から税金(所得税と住民税)と国民健康保険料(または保険税)、介護保険料を差し引いた金額です。四〇歳から六四歳の方は、医療分と合わせて介護保険料が、健康保険料または国民健康保険料(税)に含まれています。
一人の国民の手取りが増えると、その人の需要が増えることが起こり得ます。つまり、その前と比べてその人はより多くの商品を買おうとし得る、と考えられます。
国民の手取り水準が上がると、国民全体の需要が増えることが起こり得ます。つまり、その前と比べて国民全体はより多くの商品を買おうとし得る、と考えられます。
商品に対する需要が増えると、企業は二点の対応をします。
一点目は、商品の生産を増やすことです。商品に対する需要が多いほど、商品はより多く売れるからです。
二点目は、商品の価格を上げることです。一般的に、企業が商品の価格を上げると、商品に対する需要が減り、商品の売れる数量は減ってしまいます。しかし、商品に対する需要の増加は、それを打ち消すように働きます。
商品に対する需要が増えると、企業は利益がより大きくなるように、商品の生産を増やし、商品の価格を上げます。
国民の手取り水準が上がっても商品に対する需要が増えない場合はどうでしょうか?
商品に対する需要が増えなければ、企業は商品の生産を増やすことはしません。しかし、商品に対する需要が増えなくても、国民の手取り水準が上がっていれば、企業は商品の価格を上げます。
なぜなら、国民の手取り水準の上昇は、価格引き上げによる商品に対する需要の減少を打ち消すように働くからです。国民の手取り水準が低く商品の価格が低い場合と、国民の手取り水準が高く商品の価格が高い場合では、商品に対する需要の多さはどちらも同じです。
したがって、商品に対する需要が増えなくても、国民の手取り水準が上がっていれば、企業は商品の価格を上げて利益を最大化します。
次回は、この理解を前提として、国民の手取りが増えると何が起こるかを、より深く考えます。
これにより、国民はインフレを拒んではならないことがお分かりいただけるはずです。お楽しみに。
皇紀2682年7月5日
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