2019年8月7日
前回の記事「[基礎理解]国民の手取りが増えると何が起こるのか(1)」では、
・国民の手取り水準が上がり、商品に対する需要が増えると、企業は利益がより大きくなるように、商品の生産を増やし、商品の価格を上げる。
・商品に対する需要が増えなくても、国民の手取り水準が上がっていれば、企業は商品の価格を上げて利益を最大化する。
ことを述べました。
商品がより多く売れる、もしくはより高値で売れるほど、企業の利益が増えます。
よって、国民の手取り水準の上昇は、企業の利益の増加をもたらします。
企業の利益が増えると、企業はベースアップをします。ベースアップ(ベア)とは、賃金表(学歴、年齢、勤続年数、職務、職能などにより賃金がどのように定まっているか表にしたもの)の改定により賃金水準を引き上げることです。
企業は、より優秀な人材を確保しようと、他企業との間で人材獲得競争をしています。企業は、賃金水準を引き上げることで、優秀な人材を雇い入れようと、また優秀な従業員が他企業へ流出しないように努めます。
よって、企業の利益が増えると、企業の従業員の賃金水準が上がります。
また、公務員の賃金水準を決める仕組みとして、民間従業員の賃金水準が上がると、公務員のそれも上がるようになっています。
働いている親の賃金水準が上がれば、子供が受け取る小遣いや仕送りの水準も上がるでしょう。
公的年金制度は見直されなければなりません。国会は、企業の従業員の賃金水準の上昇に合わせて給付額が増えるように、公的年金制度を改めます。日本政府が本ブログで想定した日本政府([予告]日本政府はカネを生み出して国民に配るべき;インフレを拒んではならない理由)ならば可能です。
ゆえに、企業の利益の増加は、国民の手取り水準の引き上げをもたらします。
国民の手取り水準が上がると、企業の利益はさらに増えます。企業の利益が増えると、国民の手取り水準がさらに上がります。
したがって、ある時点で国民の手取り水準が上がると、企業の利益の増加と国民の手取り水準の上昇が繰り返されます。
この間に物価(商品の価格水準)は上がり続けています。企業は、利益がより大きくなるように商品の生産を増やし、商品の価格を上げているからです。
つまり、ある時点で国民の手取り水準が上がると、インフレが生じます。
これで、国民はインフレを拒んではならないことがお分かりいただけるかと思います。
なぜなら、国民の手取り水準が上がってほしいと望むならば、国民はインフレを受け入れなければならないからです。
しかし、ここでのポイントは、ある時点で国民の手取り水準が上がると、インフレが生じることではなく、国民の手取り水準が上がり続けることです。
では、なぜこれがポイントなのか。
次回は、それを論じるために、ある理想を皆さんと共有したいと思います。この理想を共有することで、国民の手取り水準は上がり続けるべきであると論ずることができます。
次回をお楽しみに。
皇紀2679年8月7日
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