2022年7月28日
相変わらず不定期更新の「ロゴスの間」です。
今回は、世界の平和について、国連憲章のポイントを読み解きます。
前回の記事「憲法9条のシン・解釈⦅1⦆」で要点として挙げたように、国連憲章は日本国憲法の公布及び施行前に調印、発効され、国連が発足しました。
では、日本国憲法、特に9条が制定される前に、当時の国連加盟国はどのような世界を目指していたのでしょうか?どのような世界を平和と考えていたのでしょうか?
早速、国連憲章を読んでみましょう。
と言っても、ここでは特に重要な条文だけを読むことに致します。
国連憲章テキスト | 国連広報センター (unic.or.jp)
第1章 目的及び原則
第1条
国際連合の目的は、次のとおりである。
1. 国際の平和及び安全を維持すること。そのために、平和に対する脅威の防止及び除去と侵略行為その他の平和の破壊の鎮圧とのため有効な集団的措置をとること並びに平和を破壊するに至る虞のある国際的の紛争又は事態の調整又は解決を平和的手段によって且つ正義及び国際法の原則に従って実現すること。
第2条
この機構及びその加盟国は、第1条に掲げる目的を達成するに当っては、次の原則に従って行動しなければならない。
3. すべての加盟国は、その国際紛争を平和的手段によって国際の平和及び安全並びに正義を危くしないように解決しなければならない。
4. すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない。
第6章 紛争の平和的解決
第33条
1. いかなる紛争でもその継続が国際の平和及び安全の維持を危くする虞のあるものについては、その当事者は、まず第一に、交渉、審査、仲介、調停、仲裁裁判、司法的解決、地域的機関又は地域的取極の利用その他当事者が選ぶ平和的手段による解決を求めなければならない。
第7章 平和に対する脅威、平和の破壊及び侵略行為に関する行動
第51条
この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。この自衛権の行使に当って加盟国がとった措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない。また、この措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持又は回復のために必要と認める行動をいつでもとるこの憲章に基く権能及び責任に対しては、いかなる影響も及ぼすものではない。
これらの条文を読むと、国連加盟国間の合意として、以下のことが読み取れるかと思います。
・国際連合の目的は、国際の平和及び安全を維持すること。
・紛争は平和的に解決する。侵略行為はダメ。
・しかし、軍隊の保有を禁止するわけではない。
・加盟国に対して武力攻撃が発生した場合の個別的又は集団的自衛の固有の権利は認める。
国連憲章の発効と国連の発足当時、各国は軍隊を所有しています。そもそも国連憲章に51ヶ国が調印した時点では、まだ日本は降伏していません。
そして、国連憲章には、侵略行為を否定する条文はあっても、軍隊の所持を禁止する条文はどこにもありません(嘘だと思うようでしたら全文をご一読ください)。
よって、国連は、加盟国に軍隊の保有を認めています。しかし、侵略行為は認めていません。
同時に、加盟国に個別的又は集団的自衛権の固有の権利は認めています。
したがって、国連が求めている平和として、以下の結論が得られます。
(Ⅰ)国連は加盟国に対し、(例えば軍隊による)侵略行為は認めないが、(例えば軍隊による)個別的又は集団的自衛権の行使は認めている。
(Ⅱ)国連が求める国際の平和及び安全とは、加盟国が武力を放棄することではなく、武力を行使していない均衡緊張状態である。
このような結論を導きましたが、いかがでしょうか?
論理的に得たつもりですが、ご納得頂けない方もいらっしゃるでしょうか?
もし納得していただけるようでしたら、次回以降の「ロゴスの間」もご参加頂ければ幸いです。
次回の「ロゴスの間」もどうぞご期待ください。お楽しみに。
皇紀2682年7月28日
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