· 

憲法9条のシン・解釈(4)仮説に基づく解釈

2022年9月7日

 

相変わらず更新の頻度が低い「ロゴスの間」です。

 

今回の「ロゴスの間」では、前回の記事「憲法9条のシン・解釈⦅3⦆」で触れた仮説について、もう少し考えてみようと思います。

 

まず、「憲法9条のシン・解釈⦅1⦆」より、

 

(ⅰ)日本国憲法の制定当時、アメリカは国連加盟国である。

 

ことが確かです。

 

次に、憲法9条のシン・解釈⦅3⦆」でも述べたように、

 

(ⅱ)日本国憲法は制定当時から国連憲章に矛盾しない。

 

ことがわかります。

 

これら(ⅰ)と(ⅱ)より、次の仮説を導きました。

 

 

仮説 日本国憲法の制定当時、次のどちらか、または両方が成り立つ。

(Ⅰ)日本政府は後に国連に加盟を申請するつもりだった。

(Ⅱ)GHQは後に日本を国連に加盟させるつもりだった。

 

 

憲法9条のシン・解釈⦅3⦆」でも述べたように、この仮説が正しいかを私は知りません。

しかし、仮説が正しければ、

 

 

私たちは、憲法9条を次のように解釈できる。また、これらは矛盾しない。

・9条は日本国に自衛権を認めている。

・9条は日本国に軍事力(軍隊及びその他の戦力)の所有を認めていない。 

 

 

憲法9条のシン・解釈⦅2⦆」で論考したように、国連が求める平和は加盟国の軍事力放棄ではなく、侵略の否定と自衛権の行使による均衡緊張状態です。

 

国連加盟国に軍事力の保有は禁止されていませんが、日本が軍事力を所有する意味はありません。

なぜなら、国連は加盟国に他国への侵攻を禁じているからです。日本が再軍備しても他国へ侵攻できないのであれば、そもそも軍事力を所有する必要がありません。

 

一方、国連は加盟国に自衛権を認めています。

憲法9条(と13条)は、日本に自衛権を認めることで日本を守ろうとしている、と考えることができます。

日本は、この自衛権を行使していると考えられます。それが、自衛隊です。

 

したがって、

 

 

日本は軍事力(軍隊及びその他の戦力)を所有できない、しかし専守防衛の自衛隊は合憲である。

 

 

と考えることができます。

自衛隊を創設した日本は、後に国連から全会一致で加盟を認められました。

 

今回は、先の仮説に基づいて憲法9条の解釈を試みました。あくまで仮説です。

ただし、この仮説は日本の国連加盟までの歴史的経緯とよく一致します。

また、この仮説は、それが正しくなければ自衛隊は直ちに違憲であると断定できるような仮説でもありません。

 

 憲法9条のシン・解釈⦅3⦆」で論じたように、私たち国民も国連という国際秩序を認めています。

国連が憲法9条下での日本の自衛権を認めているのであれば、私たち国民がそれを否定する必要はないでしょう。

 

次回の「ロゴスの間」では、軍隊と自衛隊の違いを深く考えます。

次回以降の「ロゴスの間」もどうぞご期待下さい。お楽しみに。

 

 

皇紀2682年9月7日