簡易版「中央政府の財政が健全な一国の要件」

2024年9月11日

 

今回の「ロゴスの間」では、拙稿「中央政府の財政が健全な一国の要件」を、ざっくりおおまかな概略に書き改めることを試みます。厳密な論理を省略し、平易な記述で拙稿の結論と考察を示したいと思います。

 

さて、

 

日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない。デフォルトとして如何なる事態を想定しているのか。」(平成14年4月30日 財務省)

https://www.mof.go.jp/about_mof/other/other/rating/p140430.htm

 

とは、財務省の公式見解です。

 

拙稿では、現実とよく似たあり得る実現可能な日本をモデルとして、以下の2点の意味でモデル国の財政は健全であると論じます。

(1) 中央政府は財政資金を生み出す。財政の資金不足は起こり得ない。

(2) 中央政府にどれだけ負債があっても、何ら問題ない。

 

国会が立法した予算の範囲内で国債を発行し、それを日銀が買い取ることで、日本政府は必要な資金を獲得できます(1)

 

もし日銀以外の国債の所有者(日銀以外ではほとんどを国内の金融機関が所有)が日本政府に「カネ返せ!」と国債の償還を一斉に求めたとしても、国会が予算を立法し、日本政府は国債を発行し、それを日銀に買い取ってもらい、獲得した資金で確実に国債を償還します(カネを返済します)。

国債が償還されても、誰(個人と法人)の純資産も金融純資産も変わりません。例えば、あなたが100万円の国債をもっており、それが償還されたとしても、100万円の債券(という金融資産)が100万円の現金または銀行預金に換わるだけです(多少利息は発生しますが)。

日銀以外が所有する国債を日本政府が全て償還すると、発行済み国債の全てを日銀が所有することになります。で、何か問題でも?(2)

 

ってなもんです。

これが、日本政府財政の健全性です。

 

拙稿の考察では、インフレーション(物価の持続的上昇、通貨価値の持続的下落、インフレ)への対策を論じました。

なぜなら、日本政府が財政資金を生み出して支出するならば、世の中のカネ(円)は増える一方です。国会が予算を立法し、日本政府がそれを執行することで国民の手取りを増やすことができれば、国民の需要が増えます。商品に対する需要が増えると、企業は利益を大きくするために商品の供給を増やす、または商品の価格を引き上げます。

このように、中央政府の財政が健全な国家では、インフレを避けられません。

 

拙稿では、インフレ下でも

(3) 個人や法人の銀行預金の実質価値は保たれる(物価連動する)

(4) 個人や法人の間におけるカネの貸し借りも問題なく取り引きされる

 

ための政策を論じました。ただし、これをここで短く論じることはできません。この論理を確認されたい方は、是非拙稿をお読みください。

 

もし(3)と(4)が実現されれば、物価の上昇が持続しても何ら困ることはないかと小生は考えておりますが、いかがでしょうか?

 

拙稿では、外国為替レートはどうなるかも論じています。こちらは少し難しいかもしれません。

 

日本政府が資金調達のために発行する国債を日銀が買い取る限り、日銀以外が新たに国債を所有することはありません。(3)と(4)が実現される限り、物価上昇を抑制すると考えられている金融政策(金融引き締め、売りオペ)を日銀が実行することはありません。よって、(1)と(2)の意味で中央政府の財政が健全な国家では、国債市場が存在しません(既に発行されて日銀以外が所有する国債は、全て償還されていると考えます)。

 

国債市場が存在しなければ、投資資金が国債市場に流れることはありません。金利が高い国の通貨ほど買われますが、国債金利は存在せず、銀行が資金を国債購入に充てるほど融資金利や預金金利が高くなることもありません。

また、予想される物価上昇率が高いほどその国の通貨は売られますが、個人や法人の銀行預金の実質価値は保たれます(3)。

 

したがって、ある二国では共に中央政府の財政が健全であり、為替相場は変動相場制であり、かつ銀行預金の実質価値が保たれるならば、それらの通貨の為替レートは購買力平価レートを基準に変動すると考えられます。

 

以上が、拙稿の主な内容です。

 

いかがだったでしょうか。

小生の考えをご理解いただけたでしょうか?拙稿に興味をお持ちいただけたでしょうか?

 

小生は、モデル国日本において(1)~(4)が成り立つことを論述できます。

それをご確認いただける方は、是非拙稿「中央政府の財政が健全な一国の要件」をお読みください。何卒お願い申し上げます。

(๑¯  ㅁ¯๑)ホゲ

 

 

皇紀2684年9月11日